松本侑子「性遍歴」(***)
■性遍歴 (幻冬舎文庫)
◇内容(「BOOK」データベースより)
中学三年の冬、麻美子は初めての口づけをかわした。性の目覚めと好奇心、体の変化、初恋、セックス、別れ、結婚、妊娠…一人の女の性にまつわる心身の成長、ヰタ・セクスアリスの「性遍歴」。誰もが経験する、恥ずかしくて、この上なく愛しい季節…。みずからの欲望に忠実であろうともがく人々の切ない恋を描いた、極上の性愛小説集。
セックスにまつわる5つの短編が収録されている。
「性遍歴」で描かれるのは、ひとりの女性の"性の芽生え"から結婚生活まで。
「女装夢変化」で描かれるのは、女装にはまった男性がやがてひとりの男を愛しアナルセックスに至るまで。
「初恋」で描かれるのは、男女が外見からだとまったくわからなくなった(容姿、服装含めて)近未来。
「ナツメの実」で描かれるのは、女子大生同士のレズビアン的な関係。
「新しい扉」で描かれるのも、また、年の離れた2人の女性がレズビアン的な関係。
女同士のラヴにかんしては、松浦理英子だったり中山可穂だったり諸先輩ほどはどろどろじゃない。
さっぱりと描かれます。
たいして、男同士の性愛が描かれる「女装夢変化」では、愛する男とのアレの前に浣腸とかけっこう生々しい。
たぶん、作者が女性だから、異性同士のセックスには嫌悪感がないのだろうか。
いちばん出色だと思ったのは、SFチックな「初恋」。
小学生男子が同じ学校の子を好きになるんですが、
「あの子はかわいいけど女なのか?
男だったら、どうしよう」
と悩む…というストーリーで、おもしろい。
男女同権を遵守すべく、小学生男子であっても自分のことを「おれ、ぼく」って言ってはいけない。
性差を意識させないように、「わたし」と言わなければならない。
そんな世界がやってきたら、それは幸せなのか。
はたまた、面倒なのか。
まぁたぶん後者でしょうけど、ちょっと"完全無性差"な社会に住んでみたい気もする。
そうだ。
よく呑み会などで、無礼講ついでに
「女の人がイクってどんな気持ち?」
と小学生男子チックに何度も聞いて嫌われたりするのですが、本書内の表現はなかなか興味深かったです。
以下引用。
★ある日、不意にそれは訪れた。
いつもにもまして入念に舌先と唇がはいまわった。
足の先から耳たぶまで全身くまなくたどる。
芯はすでに甘く潤んでぷっくりと花開き、太った蜂蜜を待ちかまえていた。
利明はひきしまった尻を振り続ける。
リズムにのりながら目をつむる。
暗闇の中、快楽の一点だけを追い求め走りに走る。
小さな点を執拗に求めて加速し、無我夢中でううっと力をこめたとき、思わずのけぞって小獣のように叫んでいた。
ふと体がゆるみ、生暖かいものが流れた。
はっと我に返った。「性遍歴」41p
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