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2005.05.30

B.R.アンベードカル/山際素男訳「ブッダとそのダンマ」(****)

ブッダとそのダンマ
ブッダとそのダンマ

出版社: 光文社 ; ISBN: 4334032656 ; (2004/08/18)

意外と知らないブッダの教え

インドといえばカレー、寺院、そして乞食だ。
空港を降り立って、乞食の群れに仰天、そのままホテルの部屋から一歩も出ず帰国した日本の女子大生もいたという。
でも、インドはインドでも南部に行くと、街中に乞食が一杯――ということはない。

数年前南インドに行った折、オレは橋の上を歩いていた。
ふと視線を下にやると、汚いバラック小屋があった。
小屋の前に座っていたのは、煤だらけの顔をしたオバさん。
汚い川の水で洗濯をしていたのだ。

彼女を見て、この人たちがいわゆる「不可触民」サンたちなのか?――と思いを馳せていたら、そのオバさんと目があって、動転した。
真っ黒な顔に、ギョロリとした白目。
日本人はあんまり来ない土地なので、先方も「誰だ、こいつは?」と驚いただけなのかもしれないけど。

そのインドにおいて、不可触民解放運動を1920年ごろから行なっていたのが、本書の著者・アンベードカル(1891~1956)なのである。

自身もまた「不可触民」であった彼は、晩年、インド最大の宗教であるヒンドゥー教を捨て、仏教に転向した経歴をもっている。
インドの身分社会――ヒンドゥー教は何千年もそれを見逃してきた、としていわば "見切り" をつけたのだった。
では、彼はなぜ仏教、特にブッダの教えに惹かれたのだろうか?
それを知りたいなら、膨大な文献をたどりながら、ブッダの生き様を追い、そしてブッダが教えた内容を丁寧にまとめたこの労作を読めばよい。

ブッダの教え。
「八正道」とか高校の倫理社会で学んだような覚えもあるけど(本書でも触れられている)、それはどちらかというと細論かと。
もっと根本――ブッダが教えたキモとなる部分がわかったのがよかった。

それはたとえば、以下のようなこと。

★仏教の本質(ダンマ)
=人と人との間の正しい関係の確立――慈悲の心を基礎とする道徳の確立。

★ブッダの教えで際立った特徴
・あらゆるものの中心に「心」をおいた。
 「心」は物事に先んじ、支配し造りだす。……
 まず専心すべきは、心の鍛錬である。
・我々の内外に起きるすべての善悪は心が生み出す、とした。
 心が澄み切っていることが宗教の核心でなければならない。
★ダンマにおけるブッダ自身の位置
・ブッダは、自分は普通の人間であると言った。
 ←→キリストは神の子と言った。モハメッドは神に遣わされた預言者だと言った。
・ブッダは自分のアタマで考えて、その教えを作り上げた。ブッダは救済を約束しなかった。
 ←→キリストは天啓を受けた、と言った。また「信じれば救われる」と言った。
★ダンマとは何か?
・清らかに生きること。
 (カラダ、ココロ、コトバの面で)
・人生の完成に達すること。
 (カラダ、ココロ、コトバの面で)
・涅槃=ニルヴァーナに生きること。
 (ブッダのいう涅槃とは「生きてる間に幸せになること」)
・渇望を捨てること。
・すべては一時的で儚い(はかない)と確信すること。
・カルマ(因果の法則)が道徳的秩序をつくると確信すること。

追記:
人(にんべん)に夢と書いて「儚い」か。
わかったような、わからないような。

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